研修資料の作り方|見やすくて分かりやすい資料を作るポイントも
効果的な研修を実施するためには、見やすくて分かりやすい研修資料を用意する必要があります。見やすくて分かりやすい研修資料があることで、研修を受けている人がスムーズに研修内容を理解できるようになるためです。
この記事では、見やすくて分かりやすい研修資料を作るためのポイントについて、詳しく解説します。また、研修の目的・用途別に研修資料を作るためのポイントも取り上げるので、研修受講者の理解度・満足度を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
1.研修資料の作り方・作業の流れ
見やすくて分かりやすい研修資料を作るためには、必要な内容を抜け漏れなく盛り込むことが大切です。そのためには、手順を確立し、順序よく作業を進めましょう。ここでは研修資料を作る際の方法や作業の流れを解説します。資料作りの前に参考にしてください。
1-1.目的・テーマの設定
研修には目的やテーマが必要です。実際の資料作りに入る前に、研修の目的・テーマを明確に設定しましょう。研修終了後のゴールとして、最終的に受講者に理解してほしい内容や、受講者自身に取ってほしい次のアクションなどを想定します。
また、目的・テーマの設定には受講者の共通点やニーズ、レベルを把握することが大切です。目的やテーマ、受講者のニーズに基づいて必要な情報を収集しましょう。
研修の種類が新人研修や管理職研修といった社内研修の場合、課題や知りたい内容を受講対象者に直接ヒアリングするのも1つの方法です。
1-2.情報の整理・全体構成の作成
研修の目的やテーマに沿って集めた情報を整理し、研修全体の構成を作成します。いきなり細部から作り込みはじめるのではなく、情報の整理や全体の構成からはじめると、流れと一貫性のある分かりやすい資料を作れるでしょう。
研修のメインテーマからキーワードをピックアップし、テーマやキーワードに沿って情報を整理します。すべての情報を無理に盛り込む必要はありません。必要な情報かどうかを十分に検討し、情報を取捨選択することが大切です。
ある程度情報を整理できたら、研修資料の全体構成を考えます。構成は基本的に「導入」「本題」「まとめ」の順に作成するとよいでしょう。
1-3.資料内容の作成
研修で取り上げる情報の整理が終わり、全体の構成が決まった段階で、実際の資料の内容作りに着手します。メインテーマやキーワードを中心に関連性のある情報同士をまとめましょう。必要に応じて、情報を補足しながら内容を膨らませていきます。
研修資料では、一目で分かるように特に一文一義を意識しましょう。また、データや数字を使う場合、説明文ばかりでは頭に入りにくくなります。文章だけでなく図・グラフ・イラストなど、視覚的な情報を盛り込むとより効果的です。
1-4.推敲・チェック
資料を一通り作り終えたら、最後に推敲とチェックを行います。推敲・チェックの段階では、誤字脱字や表記ミス、内容の抜け漏れがないかどうかを確認します。
あいまいな表現など、受講者に伝わりにくい表現も推敲・チェックの段階で修正しましょう。専門用語が多く分かりにくい場合は、本文に補足するだけでなく、注釈を付けるのも1つの方法です。
作成者のチェックだけでは見落としが生じます。作成者以外に、上司や同僚などからダブルチェックを受けると客観的に見てもらえるため、ミスや見落としを減らし、正確かつ質の高い資料が作れるでしょう。
作成者本人がチェックする場合、資料を紙に印刷したり、作成から時間を置いたりしてから目を通すと、より効果的に推敲・チェックが進められます。
2.見やすくて分かりやすい研修資料を作るためのポイント
資料は、内容がよくても見にくければ情報が伝わりません。内容や流れという観点からだけでなく、視覚的な見やすさに配慮すると、より分かりやすい資料が作れます。ここでは、見やすくて分かりやすい資料作りに大切なポイントを説明します。
2-1.冒頭に目次を設ける
資料の冒頭には目次を設けましょう。目次があれば、研修の流れが一目で分かり、受講者の理解を促すことにつながります。全体構成の作成の際に付けた見出しを活用すると、あまり手間をかけずに目次を作れます。
また、資料にはページ数を振り、あわせて目次にも該当するページ数を記載しましょう。ページ数が書かれていれば、資料に目を通すときに読みたい項目や知りたい情報を見つけ出しやすくなります。
研修中に講師が他のページの内容を参照したい場合にも、目次やページ数を指定するだけで目的のページを見てもらえるため、研修をスムーズに進められるでしょう。
2-2.1ページに1つのメッセージとする
研修資料は、1ページにつき1つのメッセージを掲載することを心がけましょう。1ページ内に掲載する情報を絞り込むことで伝えたい内容が明確になり、受講者に重要なポイントを伝えやすくなります。
情報を整理するタイミングから1ページに1つのメッセージを意識すると、資料作りがスムーズです。
メッセージを2つも3つも盛り込むと、読み手はページの中でもっとも重要な情報に注目しにくくなります。内容が受講者にとって初めて聞く話やなじみのない話題の場合、情報量の多さから混乱を招く恐れもあるでしょう。
特に、パワーポイントなどのスライド資料は、スクリーンやプロジェクターに投影する関係上、文字を大きくしてメッセージを少なくするほうが見えやすくなります。
2-3.色・フォントの種類・装飾を必要限度に抑える
色やフォントの種類、装飾は必要最小限に抑えましょう。色・フォント・装飾は適度に活用すると目を引きますが、多用しすぎると資料全体の印象がごちゃごちゃし、かえって視認性が下がります。
色は原則、ベースカラー・メインカラー・アクセントカラーの3つまでに絞るとよいでしょう。特にアクセントカラーは多用しすぎず、重要な部分を強調する場合にのみ使用します。
フォントも、特に理由がなければなるべく視認性が高いものを選びましょう。ゴシック体やメイリオフォントといった、線がはっきりしたフォントを使うと見やすくなります。
2-4.レイアウトを統一する
レイアウトは、資料全体を通じて統一しましょう。ページごとに見出しの場所や文字色、テキストのサイズなどが違うと、内容が頭に入りにくくなるためです。レイアウトを揃えることで、資料全体に統一感が出て情報が伝わりやすくなります。
また、先にテンプレートを作っておくと、レイアウトの統一が簡単です。作成者側もいちいちページごとにレイアウトを考える手間が省け、手早く見やすい資料を作れるでしょう。
3. 【目的・用途別】研修資料を作るためのポイント
研修資料は、研修テーマや受講者の知識レベルなどによっても必要な情報量や注意点が変わります。ここでは、研修資料の目的・用途別に資料作りのポイントを解説します。より実りのある研修資料作りを目指しましょう。
3-1.新入社員研修
新入社員研修向けの資料は、情報を詰め込みすぎず必要なポイントのみを掲載しましょう。新入社員は予備知識がない状態です。与える情報が多すぎても、覚えてほしいポイントを伝えきれない恐れがあります。
研修期間が数日にわたることも多く、スケジュールと教えたいスキルを明確にすることも大切です。
また、ただ講師の話を聴いているだけでは集中力を維持できません。資料にはメモ用のスペースを設けておきましょう。研修内容を自分なりにまとめたり補足したりできるように工夫しておくと、聴くだけでなく能動的に研修に参加しやすくなります。
3-2.コンプライアンス研修
コンプライアンス研修の資料では、具体例を盛り込みましょう。法令や社則を紹介するだけでは内容が抽象的になり、なかなか理解が深まりません。具体的な事例を取り上げることで、コンプライアンスをより身近に感じ、イメージしやすくなります。
研修の内容をより深く印象付けるには、具体的な事例を取り上げた後に該当するルールを解説するのがおすすめです。具体的な事例としては、受講者に当事者意識を持たせるために、自社に当てはめた事例を紹介するとよいでしょう。
まとめ
研修資料を作るためには、「目的・テーマの設定」「情報の整理・全体構成の作成」「資料内容の作成」「推敲・チェック」という流れで作業を進めていきます。このような流れで資料作成を進めていくことで、見やすくて分かりやすい資料の完成につながります。
見やすくて分かりやすい資料を作るためには、情報量や装飾を意図的に制限することが大切です。詳しい内容を伝えたいあまり、1ページに多くの内容を詰め込むことは好ましくありません。また、文字のフォント・カラーを派手にしすぎると、むしろ見にくい資料となってしまいます。全体的なバランスを考えながら、受講者目線に立った研修資料を作成しましょう。